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ゴルフ会員権 Q&A

預託金償還問題とは何ですか?

預託金償還問題とは、所定の条件で会員から預った預託金(別項参照)をゴルフ場が約束通りに返せない問題のことを指し、一部の預託金会員制クラブで発生しています。

預託金会員制クラブはゴルフ場を造るときに新規会員募集を行い、その際に会員から預託金を集め、ゴルフ場を造ります。よって、ゴルフ場造成直後は基本的に預託金は残っていません。それでは使ってしまった預託金を、どのように元に戻すのでしょうか。一般的に18ホールのゴルフ場の年間粗利益は約1億円といわれており、100億円前後もかかるゴルフ場造成費用、つまりは使ってしまった預託金の分を埋めるにはあまりに不足しています。預託金の据置期間(会員が返還請求できない期間)は10年間というものが多いのですが、それではゴルフ場は募集当初から預託金を返還するつもりはなかったということでしょうか。実は、大半は返還を考えていなかったのです。

多くのゴルフ場は、新規会員募集終了後に会員権の名義書替え、つまり他人への譲渡を認めます。そして昔は、まず間違いなく募集による預託金額を、その後の会員権市場での相場金額(他への譲渡金額)が上回っていました。この仕組みを利用した会員制度が預託金制度です。ゴルフ場は造成費用を預託金として集めますが、その返還については会員権が市場で預託金額より高い相場で流通することで返還請求そのものが発生しない、という考えのもので、事実、ほとんどの場合そのとおりになっていました。加えて、この制度には税制面での利点もあります。新規会員募集の際に会員権を文字通り販売してしまえば返還請求などと言う将来の不安を抱えずにいられるのですが、募集金額を売上げとして計上してしまうと利益が生まれ、それに対して税金が課せられます。しかし、一時的に預かっているお金ということであれば利益ではないので税金は課せられず、結果として会員募集で集めたお金をそっくり使うことができるのです。以上のような理由から、ゴルフ・ブームという時流もあったとは思いますがこのシステムを利用したゴルフ場が数多く出てくることとなり、結果として国内の多くのゴルフ場が預託金制度を採用することになりました。

しかしご存知のとおり、バブル崩壊などの経済の弱体化はゴルフ会員権市場にも大きく影響し、大幅で長期的な相場下落を招くことになり、相場金額が預託金額と同等となってしまいました。会員が会員権を現金化したいと考えた場合、市場で売却してもゴルフ場に預託金を返還してもらっても同じですが、相場の下落局面では購入希望が絶えずあるわけもなく、市場で捌ききれない会員権がゴルフ場への返還請求へと回ることになります。ゴルフ場は初期の段階では返還に応じますが、請求件数が増えてくると応ずることができなくなり、即時返還できなくなったり分割払いによる返還になってきます。このようになると、ゴルフ場に対する経営面への不安を高めた会員や、早期に現金化したい会員が預託金額以下であっても市場で売却しようとし、結果として相場金額が預託金額を下回ってしまいます。会員にとっては預託金を返還してもらったほうが市場で売却するより得な状況であるため、ゴルフ場への請求件数はそれまで以上に増加し、応ずることができなくなったゴルフ場は最終的に経営破綻することになります。これが、預託金償還問題へと至った概要です。

預託金制度のゴルフ場であっても、償還問題を何ら抱えていないところが数多くあります。昔に開場、会員募集し、現在の経済水準から考えてかなり低い金額の預託金である場合は、引続き相場金額が預託金額を上回っており返還請求が起きません。ゴルフ場や母体がしっかりしており、返還請求に全て応じている場合も当然問題は生じませんし、この場合は相場金額が預託金額を下回ることはなく、結果としてゴルフ場に対する返還請求件数そのものが増えません。

預託金償還問題は、そのままにしておくとゴルフ場の経営破綻ということになり、会員自身にも大きな損失となります。預託金返還請求権を行使するために裁判を起こし強制執行等で預託金を回収する、という手段がありますが、強制執行で現金を回収することは難しく、また施設を差し押さえる等の場合、一部会員のそのような行為は他の会員の利益を損なうので認められない、という法的判断も出ています。会員が返還請求するとゴルフ場は内々にその請求者別に対応し、強い態度の会員に対してはそれなりの処遇をするといった、いわゆるゴネ徳のようなことも一部ではあるようです。

預託金償還問題の解決方法は、未だに決定的な方法はありません。問題があまり表面化していない初期の時期では、ゴルフ場側が一方的に償還期限を延長するようなことがありました。会員との相談なしに経営権が他の会社へ委譲され、経営健全化等の目的で追徴金の請求があり、応じないと会員資格を喪失するというものもありました。しかし最近では、ゴルフ場側と会員側が協議しながら対応策を練ることが一般的になってきました。償還期限の延長は最も多い解決策で、ゴルフ場側のトップが会員一人一人を訪ねて同意をお願いすることが多いようです。期限延長の見返りとして同伴のビジターフィーを割安にしたり、年会費を減額したりする場合もあります。期限延長に加えて会員権を複数枚に分割し1枚あたりの預託金額を減額するという方法は、分割された会員権に対する名義書替料を無料とすることで、市場での売却を促進(会員に現金が入ることになる)したりします。株主会員制へ移行することで、預託金そのものを無くしてしまうという手法があります。名義書替え時に預託金の一部を名義書替料に充当することで、預託金額を減額するという方法もあります。償還期限の起算日をこれまでの開場時や最初の預託金証券発行時ではなく、名義書替えにより新しい会員が入会した日を起算日とすることで償還期限を延長することもあります。

そして増え始めているのが、荒療治ともいえる会社更生や民事再生手続といった法的整理で、預託金を含むゴルフ場の債務を整理し、財務状況を健全化のうえ再出発を図るというものです。この場合、ほとんどは預託金が大きく減額もしくはゼロとなってしまいます。また、比較的少ないケースですが既存会員が切り捨てられプレーができなくなってしまうこともあり、この場合は会員にとって預託金償還問題の解決とはとてもいえるものではありません。なお、法的整理もその詳細は数多くの手法があり、会員各人が数十〜百万円の資金負担のうえゴルフ場を買取るというもの、ゴルフ場を保有する中間法人を設立し会員がその社員となるというものなどがあります。有力企業にスポンサーとなってもらいゴルフ場を会員ごと取得してもらう、という方法は数多く採用されており、専らこの方法で米国投資会社を中心に資金力がある企業が多くのゴルフ場を取得のうえ傘下としています。

預託金償還問題は非常に大きな問題ですが、少しずつ解決の方向へと動いています。

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